はまぞう › ~凧合戦と屋台~ NAVA@八まん連

  

2017年06月25日

「原点は初子祝い」なのか?


まずはじめに、5月の浜松まつりで行われている初節句のお祝い(いわゆる初祝い)を否定しているわけではない事を、あらかじめお断りしておきます。


先日凧の関係者が集まる会があり、そこで複数の方が発言されていたのですが、みな口を揃えて「原点は初子を祝うまつりだ」と発言されていたことに対し、強い違和感を覚えました。

このおまつりの数ある性質のうちのひとつであり、最も大事にしなくてはいけないものである事は認めますが、「これが原点だ」と言われると???と疑問符が付くのです。

なぜなら、若い頃にはそんな事をそれほど言ってなかったから。それが違和感の原因です。


おそらく前回記事にした「浜松まつり400年以上のウソ歴史」が公式パンフや新聞紙面などで取り上げられ続け、いつの間にか原点と信じられるようになってしまったのだと思います。




実際にやっているまつりは、3日間72時間にいろいろな内容があって、原点とは結びつかない内容もいっぱいあります。しかしそれも大切にしなくてはいけない伝統なんです。
この創られた原点だけを軸におまつりのあり方を考えていくと、ますますおかしな方向にいってしまいそうに感じたので敢えてブログで書くことにしたのです。


ここに1981年に出版されれた「浜松祭り」という本があります。
90ページほどの本ですが、城記とともに初凧を紹介したものが1ページ、赤ちゃんの顔が映っているものが2ページのみ。
ちなみに凧場で赤ちゃんが映っている写真は1枚もありません。


小池弘編『浜松祭り』(1981年、I.K.E)



自分が見てきたあたりまえの姿がこの本の中にあります。

随分様変わりしてしまった感がありますが、どのように変化していったか、どのあたりから初子祝いが原点とされたのか、また記事にしていきたいと思います。
  


Posted by NAVA@八まん連 at 19:18Comments(2)

2017年06月19日

浜松まつり400年以上の歴史はウソ



ちょっとショッキングなタイトルだったでしょうかね。でも残念ながらウソなんです。
ウソというか、「ニセの歴史書を基にした作りばなし」というのが歴史家先生たちの見解です。
添付した資料は、テレビの歴史番組でお馴染みの小和田哲男 静大名誉教授が出された「所見」です。

何を今さらと仰せの方もいるかもしれませんが、ウソも100回言えば真実になるとも言われてしますし、この見解も30年近く前に新聞発表されているにも関わらず、未だにウソ歴史を前面に押し出している風潮も感じましたので、敢えて今回記事にしました。

最近の浜松まつり公式パンフレットには(一説によると)という注釈が入るようになりましたが、一般的にはその注釈は吹っ飛んでしまうんですよね。インターネットで検索すれば「浜松まつりは400年の歴史」「城主の長男の名前の入った凧を揚げた」と色んなHPで出てくるし、あろうことか浜松まつり会館の公式HPにはデカデカと450年の歴史と書いてあって、既にウソも100回言えば・・・状態になりつつある感じです。ウソの歴史を観光客集めに利用しているとしたら、ちょっと由々しき事態ですね。
このままウソが拡散され続ければ、誰も「あれはウソ」とは言い出せなくなってしまうような気もします。


いいじゃん、もうそれで通ってるんだから、ってご意見もあるかと思いますが、なんか気持ち悪いんです。若い頃はそんなこと言ってなかったから。
記憶の中にある凧揚げ祭の姿とあまりにもかけ離れていて、この起源が原点などと言われると強烈に違和感を感じるんです。

かつての凧の姿とはさま変わりしてしまった感をみなさんお持ちでしょうが、このニセ起源の蔓延もその一要因じゃないかと思っています。
こんな美化したような話しに頼らなくても伝統町の皆さんがよくおっしゃるように、「いつからやってるかハッキリしないが、ずっと昔からやっている」で胸張って言えばいいんじゃないかと思います


資料出典;小楠和正(2006) 『浜松の凧揚げ起源についての研究』浜松市立中央図書館.







  


Posted by NAVA@八まん連 at 21:04Comments(0)

2017年05月13日

平成29年浜松まつり お疲れさまでした

平成29年浜松まつり、無事終了しました。
現場でお世話になったみなさん、ありがとうございました。お会いできなかった方も多かったと思いますので、また飲み会等ありましたらお誘いください。

さて、今年は三日間とも好天に恵まれましたね。特に五日は写真のように快晴の下で沢山の凧が揚がり、思わず「ひと目みせたや糸目の数をよ~」と口ずさんでしまいました。天気が良くて空気がクリヤーだった他に、以下の条件が重なったのでこんなに絵になる凧が出来たんだと思います。
・この時間は子供凧揚げの時間で、各町が一斉に凧を揚げた
・南風のため会場を東西を目いっぱいに使うことが出来、沢山の凧が揚がった
・これ以上に糸を出すと揚げ糸の重みで揚がらなかったり松に掛かったり、各町だいたい同じ距離で揚げていた

こんなふうに推定しますがいかがでしょうか。

いずれにしても凧のまつりです。来年のポスターはこんな感じの写真を使って、是非どんなまつりか内容が伝わるものにしてもらいたいと思います。


今年、ひさしぶりに「合戦」という映画を見ました。「映画合戦を語る会」のブログも覗いたのですが、監督の青池憲司さんのとても良い言葉が残されていました。

以下語る会ブログから引用-

【映画『合戦』は何をえがいたか】
 これは、見ていただければ瞭然のことですが、若干の蛇足を書きますと、わたしがこの映画で提示したかったことの一つは「コミュニティの力」です。
凧揚げの醍醐味は、合戦場でのあの勇壮さにあることはいうまでもありませんが、わたしが、それとおなじように興味をもって映像にしたのは、コミュニティ(町内)の人たちが5月の3日間へ向かって準備を進めていくプロセスでした。凧を揚げるという目的のために、老若男女が知識や知恵や技術を出し合い、恊働する。
——そこには、上下の人間関係ではなく、みんなが横一線で自分の持てる力を発揮する姿がありました。そんな「コミュニティの力」を、わたしたちの日常生活にも活かせたらといいな、といまでも考えています。

-引用終わり

これからの凧人生でも大事にしていきたい言葉です。




オリジナル

(写真は昔見た景色を求めて南斜面より筆者が撮影)
  


Posted by NAVA@八まん連 at 21:28Comments(2)